こんにちは。おすぎです。
今回はB-Rサーティワンアイスクリームを取り上げました。
みんな大好きサーティワンですが「サーティワン」と呼ぶのは日本特有で、世界的には2人の創業者の名前をとって「バスキン・ロビンス」と呼ばれるのが一般的だそうです。
「アイスはよく買うけど決算は見たこと無いなぁ。。」という方も多いかと思います。
美味しい幸せを運んでくれるB-Rサーティワンアイスクリームの決算、ぜひご覧ください!
コンテンツ
1. B-Rサーティワンアイスクリームの会社概要
まずはB-Rサーティワンアイスクリームの会社概要を確認しましょう。
B-Rサーティワンアイスクリームは、世界中に店舗を展開するアメリカのアイスクリームチェーンのバスキン・ロビンスと不二家の合弁会社として日本でアイスクリームチェーンを展開しています。
世界的には「バスキン・ロビンス」と呼ばれる一方で、日本では「サーティワン」と名付けた合弁会社の影響で「サーティワン」という呼び名が一般的となったようですね。
世界でもう1ヶ国「サーティワン」という呼び名が一般的な国があります。
それが台湾です。
これは、日本のB-Rサーティワンアイスクリームが、米国本社との契約によって台湾の民間企業とフランチャイズ契約を結んだことで出店されたため、こちらも「サーティワン」の呼び名が一般的となったそうです。
B-Rサーティワンアイスクリームはマクドナルド同様、直営店とフランチャイズ店それぞれでの店舗展開を進めており、2020年に1,200店展開を達成しました。
直営店とフランチャイズ店の比率情報を見つけることはできなかったのですが、フランチャイズ店の展開には積極的なようで、HPでも会社情報ページの上段分かりやすいとことに加盟店募集のボタンが設置されていました。
またB-Rサーティワンアイスクリームの店舗の特徴として、幅広い形態での出店が可能というものがあります。
上の絵の通り、出店形態が幅広いことでフランチャイズオーナーを増やしやすい、というのも店舗拡大においては1つのメリットとなりそうですね。
B-Rサーティワンアイスクリームの会社概要について理解したところで、次章から決算内容を見ていきましょう。
2. 21年12月期実績と22年12月期見通しについて
21年12月期実績
まずは21年12月期実績を見てみましょう。
21年12月期の売上は前年20年12月期比+18億円増の194億円、営業利益は+4億円増の12億円と、増収増益となりました。
引き続きコロナによる緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の発令はあったものの、休業店舗が大幅に減ったことが売上増の主要因のようです。
また、利益増に関してですが、21年12月期の営業利益率は6.1%と前年比1.8ポイント改善しています。
これは売上総利益率の改善影響による部分が大きいようです。
売上総利益の増要因ですが、こちらは売上増による利益増にプラスして、コスト削減効果のようです。
決算短信でも「売上原価は、生産体制の見直し及びコストコントロールを図ったことにより、~~ 売上の伸長に対して低い伸びに留まった」とコメントがありました。
販管費は前年と比べてマーケティング費用を増やしたことで費用増となりましたが、原価の削減効果が大きく、営業利益・営業利益率ともに改善となったようです。
22年12月期見通し
続いて22年12月期の年間見通しをみてみましょう。
22年12月期の通年見通しは売上・営業利益ともに変化なしの、売上194億円、営業利益12億円となっています。
経済全体としてもコロナから回復基調であるにも関わらず、売上・利益ともに据え置きは少し弱気な数字では?と個人的に感じました。
そこで、売上・利益を据え置いた背景についてもう少し考察してみました。
想像される理由の1つにアイスクリーム市場の動きがあります。
以下に一般社団法人日本アイスクリーム協会が示す「アイスクリーム類及び評価販売金額の推移」の変化を示したグラフを載せます。
上記のグラフは国内のアイスクリーム市場の推移と捉えることができると思います。
グラフをみると、2017年頃まで市場は順調に伸びていますが、以降はほぼ横ばいとなっています。
アイスクリーム市場全体として伸びが頭打ちとなっていることで、22年12月期の売上変化を据え置いた、と想像されます。
これはあくまで私の推測ですので、実態は測りかねますが、コロナによる外出規制がより緩和されれば、売上・利益ともに続伸することも期待できると思います。
3. 財務状況について
続いて、B-Rサーティワンアイスクリームの財務状況を見ていきましょう。まずは下図に過去5年間の貸借対照表データを並べます。
過去5年間で大きな変化はありません。
その中でB-Rサーティワンアイスクリームの貸借対象表の特徴の1つが非流動資産の割合が高いことです。
21年12月期は現金及び預金が増えたため、流動資産と非流動資産の割合はほぼ1対1ですが、それ以前の年度では非流動資産の占める割合が大きくなっています。
直営店の建物や機械設備だけでなく、一部フランチャイズ店に貸し出している店舗もあり、非流動資産の金額が積みあがっているようです。
一方で、この店舗の貸し出し制度があることがフランチャイズ展開のし易さに繋がっているのかもしれませんね。
また流動比率は約1.5倍、純資産比率も50%超えと財務状況は健全と言えそうです。
安定的な財務基盤を背景に毎年配当を出しており、21年12月期も1株当たり累計30円の配当を出すと発表しました。
具体的な目標配当性向等は出されていませんでしたが、ここ数年は1株当たり年間累計30円配当を維持しており、ここが1つの目安となっているようです。
またB-Rサーティワンアイスクリームは株主優待も出しています。
100株以上の株を保有している株主に対して年に2回自社店舗で使用できるeGiftを贈呈、保有株式数が増えるにしたがって贈呈されるeGiftの金額が増えます。
なお、B-Rサーティワンアイスクリームは22年1月に優待を若干変更しています。
これまでは1枚500円の紙の優待券でしたが、同タイミングでeGiftへ変更、さらに金額も1枚600円へUPしています。
アイスクリーム好きの方にはたまらない優待ですね。
続いて過去5年間のキャッシュフロー変化です。
こちらも過去5年大きな変化は無く、営業CF(橙色の棒グラフ)、投資CF(灰色の棒グラフ)、財務CF(黄色の棒グラフ)いずれも安定的に推移しています。
営業CFに関しては、直近の利益増影響もあり徐々にプラス幅が増加しています。
投資CF、財務CFが大きく変化ない中で営業CFが増えてきていますので、各年度のキャッシュ変化(青色の折れ線グラフ)は徐々に増加、その結果、21年12月期末残高は50億円を超えるレベルに至りました。
この手元キャッシュに加えて、貸借対照表から読み取られる高い財務指標からも、財務的に安定していると言えそうですね。
4. 今後のビジネス展開について
最後にB-Rサーティワンアイスクリームの今後のビジネス展開について考えてみましょう。
今回決算では2022年12月期までの発表であったこと、中期経営計画の資料等が見つからなかったことから、こちらもアイスクリーム市場の状況から考えてみようと思います。
改めて以下に一般社団法人日本アイスクリーム協会が示す「アイスクリーム類及び評価販売金額の推移」の変化を示したグラフを載せます。
この推移だけ見るとアイスクリーム市場の将来性に不安を感じてしまいます。
そこでもう少し調べてみると、一般社団法人日本アイスクリーム協会が出している「アイスクリーム白書2021」というレポートを発見しました。
そこからいくつかアンケート結果を引用させていただき、考察を加えてみようと思いますが、前提として調査対象は
市販のアイスクリームを2ヵ月に1回以上、自分で購入して食べた人全国10代~60代の男女 合計1,200名(各年代とも男女各100名ずつ)
であることをご承知おきください。
まずは「スイーツ好感度・アイスクリーム好感度」のアンケート結果です。
設問を見つけることはできませんでしたが、おそらく選択肢から好きなスイーツを順番に選ぶ形と思われます。
その結果が以下となります。
好きなスイーツ堂々の1位に輝いたのがアイスクリームで、2位のケーキ・シュークリームの倍以上の得票数となっています。
さらに、同資料に2014年まで遡った順位表が載っていますが、アイスクリームが1位を維持し続けています。
幅広い年齢から支持されていること、男性にも人気が高いこと、値段帯も手を出しやすいことが1位をキープしている要因であると想像されます。
ここから盤石なアイスクリーム人気を読み取ることが出来ますが、B-Rサーティワンアイスクリームにとって気になるのは次のアンケート結果です。
以下は「購入場所」についてのアンケート結果です。
購入場所の第1位を見るとスーパーマーケット店舗となっており、圧倒的な得票数を得ての1位です。
2位はコンビニエンスストア、3位はディスカウントストア・ドラッグストア、4位にようやくB-Rサーティワンアイスクリームが属するアイスクリーム専門店となっています。
こちらも設問を見つけることはできませんでしたが「アイスクリームを購入する順に並べてください」であると想像され、単純にグラフに載っている約3%の人しかアイスクリーム専門店でアイスを購入しないという訳ではないと思います。
しかし、スーパーやコンビニと比べると圧倒的に購入頻度は低いことが分かります。
この結果、市場が頭打ちであると仮定すると、B-Rサーティワンアイスクリームがシェアを伸ばすためには、もちろん他社アイスクリーム専門店とのシェア競争もありあすが、スーパーやコンビニ等のシェアを奪う必要があると考えられます。
アイスクリーム専門店と比べると、スーパーやコンビニのアイスは価格の面で優位に立っています。
さらに近年、特にコンビニはスイーツ含めて力を入れており、アイスクリームカテゴリでもコラボなどを積極的に行い、話題性も高めています。
その中でアイスクリーム専門店がスーパーやコンビニのアイスクリーム需要を奪うことは相当大変と思いますが、やはりポイントの1つが店頭での体験と考えます。
店頭でアイスを選び、作ってもらう喜びはやはり何物にも代えがたいと思います。
サービス面をいかに押し出し、お客さんに来てもらうかが今後売上を伸ばしていくために必要な戦略の1つと想像します。
コロナで外出頻度が極端に下がっていましたが、徐々に街に人が増えてきましたので、新たなチャンスと考え、お客さんを集客し、リピーターとなって貰える戦略をぜひ打ち出して欲しいですね。
コロナ禍でキャッシュの重要性が再認識される中、追加の借入等をほとんど実施せずに手元キャッシュを増やしてきたB-Rサーティワンアイスクリームですので、この資金を上手に次の戦略へ投資していってもらいたいと思います。
B-Rサーティワンアイスクリームの次の戦略に期待しましょう!
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